ところで、式(2.5)より次が従う。
$$
\begin{split}
\int \B{\om}\,\diff V_V = \B{0} \qquad(1)
\end{split}
$$
孤立渦の表面上では $\B{\om}\cdot \B{n} = 0$ あるため、単一渦の『重心』は、総渦度で割った渦度の第一モーメントとするような、従来の方法で定義することはできない。Saffman [1970]が粘性渦輪の研究で採用した代替アプローチは、重心を次の表現で定義することであった:
$$
\begin{split}
\B{X}_V = \ff{1}{2}\int \ff{(\B{x}\times \B{\om}) \cdot \B{I}}{\B{I}^2}\B{x}\,\diff V_V \qquad(2)
\end{split}
$$
ここで、$I = |\B{I}| $ として、インパルス $\B{I}$ は(7.5)で定義されるものである。渦の速度 $\B{U}_V$ は次のように単純に定義できる。
$$
\begin{split}
\B{U}_V = \ff{\diff \B{X}_V}{\diff t} \qquad(3)
\end{split}
$$
これらの定義は、大きな渦度の領域に重心を局在化し、渦輪やヒルの球形渦などの対称的な渦の幾何学的重心に、『重心』が配置されるので、分布が変化せずに並進する場合には、正しい速度で重心を移動させる。軸対称渦で方位角渦度 $\om_{\q}(r,z)$ に対して円柱座標を使用すると、重心は軸上にあり、$z$ 座標は $\om_{\q}$ の重み付き第一モーメントと一致する。つまり、
$$
\begin{split}
Z_V = \ff{ \DL{\int 2\pi rz \om_{\q} \diff r\diff z} }{ \DL{\int 2\pi r\om_{\q}\diff r\diff z} } \qquad(4)
\end{split}
$$
この定義の一つの欠点は、二次元では、この重心が従来のもの(平均渦度が必ずしもゼロではないので使用可能)と、簡単な関係にないことである。代替アプローチは、重心の運動を生成する衝撃力のポアンソ軸上の点として取ることである。これは、衝撃力が線に沿って平行カップル $\B{A}_V-\B{R}\times \B{I}_V$ と共に線上にあるような、$\B{I}_V$ に平行で $\B{R} = \B{I}_V\times \B{A}_V/I_V^2$ を通る直線となる。
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