流体力学的インパルスの別の解釈は、静止状態から瞬間的に運動を生成するために必要な、衝撃力を考慮することによっても導かれる(Kelvin [1868])。
今、流体が静止しており、時刻 $t_0$ で瞬間的に衝撃力 $\B{F}$ が作用して、速度場 $\B{u}(\B{x}, t_0)$ が生成されるとしよう。このとき、デルタ関数を用いて衝撃的場が次のように書ける:
\begin{split}
\B{F}(\B{x},t) = \B{f}(\B{x})\delta (t-t_0) \qquad(1)
\end{split}
このとき、速度と圧力については次の展開を持つ。
$$
\left\{
\begin{split}
&\, \B{u}(\B{x},t)=\B{u}(\B{x})H(t-t_0)+\B{u}^1(\B{x})H^1(t-t_0)+\cdots \EE
&\, p(\B{x},t)=P(\B{x})\delta(t-t_0)+p^1(\B{x})H(t-t_0)+\cdots
\end{split}
\right. \qquad(2,3)
$$
ここに、$\delta$ はディラックのデルタ関数、$H$ はヘビサイドの段階関数($H’ = \delta$)、$H^{1}$ はヘビサイドの階段関数の不定積分)を表すとする。これらをオイラー方程式(1.5.2)に代入し、主要項を等しいとおくと以下が得られる。
\begin{split}
\B{u}(\B{x})=-\nabla P+\B{f} \qquad(4)
\end{split}
量 $P$ は衝撃的圧力と呼ばれる。これは流体が非圧縮性であるという仮定から現れる。式(4)の発散を取ると:
\begin{split}
\nabla^2 P=\text{div}\B{f} \qquad(5)
\end{split}
となる。(非圧縮流体であるので、$\text{div}\,\B{u}=0$ となる。連続方程式)
流体が無境界で $\B{f}$ が有限範囲である場合、これは任意定数を除いて $P$ を定義する。初期速度場は(4)によって与えられる。速度場が与えられた場合、衝撃的力はまず(4)の回転を取ることによって決定される。
\begin{split}
\rot \B{f} &= \B{\om}(\B{x},t) \qquad(6) \EE
&= \Big( \rot \B{u} = -\nabla\times\nabla P+\nabla\times\B{f} = \B{\om} \Big) \EE
\end{split}
これらの方程式は、単一値ポテンシャルの勾配($P$ に吸収可能)の範囲内で $\B{f}$ を決定する。$\B{\om} = \B{0}$ の単連結領域では、$\B{f} = \B{0}$ とでき、式(4)は $P = -\phi$(φは非回転領域に存在する速度ポテンシャル)を示します。$\B{\om} = \B{0}$ の多重連結領域では、$\B{f} = \B{0}$ と仮定することは可能だが、$\phi$ が単一値でない場合は、衝撃的圧力が跳躍する障壁を導入する必要があるかもしれない。圧力跳躍 $[P]$ を持つそのような障壁は、特異な衝撃的力分布 $\B{f} = [P] \B{n}\,\delta(n)$ と等価である。ここで、$\B{n}$ は障壁に対する法線を表す。
このとき、流体に適用される全インパルスは(式(2.11)を使用して):
\begin{split}
\B{I}=\int \B{f}\diff \B{x}= \ff{1}{2}\int \B{x}\times \B{\om}\,\diff \B{x} = \ff{1}{2}\int \B{x}\times \rot\B{f}\,\diff \B{x} \qquad(7)
\end{split}
と表せる。
無境界流れにおける流体力学的インパルスの不変性は、静止状態から運動を生成するために必要な、全衝撃的力の恒常性、あるいは等価な流れを瞬間的に静止させるために必要な力とも等価である。
与えられた形状の無限領域内における、インパルスと運動量の差は、無限表面を横切る圧力による運動量流束と関連付けることができる。任意の固定体積に対して、((1.1)と(1.3)を組み合わせるか、またはオイラー方程式から直接導出)次が得られる。
\begin{split}
\ff{\del }{\del t}\int \B{u}\diff \B{x}=-\int \big[ p\B{n}+\B{u}(\B{u}\cdot\B{n}) \big]\diff S+\int \B{F}\diff \B{x} \qquad(8)
\end{split}
無限遠では、表面積分への速度の寄与はゼロで、そのため
\begin{split}
p\sim -\ff{\del \phi}{\del t}\sim \ff{1}{4\pi r^3}\B{x}\cdot \ff{\diff \B{I}}{\diff t} \qquad(9)
\end{split}
ベルヌーイの定理と式(2.2)・(2.7)より、球面に対して、式(9)で与えられる圧力の表面上の積分は $\DL{-\ff{1}{3}\ff{\diff \B{I}}{\diff t}}$ であることが分かる。
流体が無限遠の剛体壁内に閉じ込められている場合($\B{u}\cdot\B{n}=0$)、漸近公式は壁上では成立せず、流体運動量はゼロとなる。この場合、(8)は流体に伝達される衝撃的力が圧力によって瞬間的に壁に伝達されることを示している。そのためニュートンの第三法則に従って容器を静止させるため、必要な外力がバランスされる。
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