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6.2 層上の前縁吸引(Leading edge suction on the sheet)

 渦層のさらなる動力学的性質は、相当な興味を惹き起こす。シートの速度は§2.2で記述された手順によって求められるが、このとき、位置 $y$ でのシートの法線方向速度は、

$$
\begin{split}
\int_{-a}^a \ff{2u y’}{\sqrt{a^2-y^2} } \ff{\diff y’}{y’-y} = U, \quad |y|<a
\end{split} \qquad(1)
$$

 したがって、渦層は変化せずに前進し続けるように見えるが、渦層強度と誘導速度は端部 $y = \pm a$ で特異であるため、そこでは主値を取ることができない。動力学的には、この特異性は平板の先端に前縁吸引と呼ばれる外力 $T$ の適用を要求する。これを見るため、図6.2-1に示すように、$y = a$ を中心とする半径 $\eps$ の無限小円内の流れの運動量バランスを考えよう。$x$ 方向に速度 $-U$ を重ね合わせることにより流れを定常にする。先端近傍では以下のようになる。

$$
\begin{split}
w = -U\sqrt{a^2+z^2} \sim -\sqrt{2a} U (i\zeta )^{\ff{1}{2} }
\end{split} \qquad(2)
$$

ここで $\zeta = z – ia$ である。$T\B{j}$ が流体に適用される外力で、先端近傍の平板内の張力 $T$ に対応するなら、

$$
\begin{split}
T\B{j}+\oint_{|\zeta|=\eps } p\,\B{n}\,\diff s+\oint_{|\zeta|=\eps } \B{u}(\B{u}\cdot \B{n})\diff s = 0
\end{split} \qquad(3)
$$

速度成分 $(u,v)$ は以下より得られる。

$$
\begin{split}
u-iv = \ff{\diff w}{\diff z} \sim \sqrt{ \ff{a}{2} } U \left( \ff{i}{\zeta} \right)^{\ff{1}{2}}
\end{split} \qquad(4)
$$

したがって、

$$
\left\{
\begin{split}
&\, u = -U\sqrt{\ff{a}{2\eps} }\cos \left( \ff{\pi}{4}-\ff{\q}{2} \right) \EE
&\, v = -U\sqrt{\ff{a}{2\eps} }\sin \left( \ff{\pi}{4}-\ff{\q}{2} \right)
\end{split} \qquad(5)
\right.
$$

そして、

$$
\left\{
\begin{split}
&\, \B{u}^2 = \ff{aU^2}{2\eps} \EE
&\, \B{u}\cdot \B{n} = -U\sqrt{ \ff{a}{2\eps} } \cos \left( \ff{\pi}{4}+\ff{\q}{2} \right)
\end{split} \qquad(6)
\right.
$$

さらに、ベルヌーイ方程式を用いて圧力を与え、(3)に代入してその積分を評価すると、以下が得られる。

$$
\begin{split}
T = \ff{1}{2}\pi U^2 a
\end{split} \qquad(7)
$$

 (7)で記述される張力に耐えることができれば、平板は流体中を移動できる。平板が十分強くなければ、引き裂かれるであろう。しかし、渦層は張力に耐える手段を持たず、(1)で記述される一様並進は動力学的に不整合である。

 この結果は渦力の考察からも得ることができる。無限遠で流れが静止する参照系で作業する。そして、$y_1$ と $y_2$ の間の渦層部分を考える。これは流体力学的インパルス、

$$
\begin{split}
\B{I}_V = \int_{y_1}^{y_2} \B{r}\times \B{k}\,\kappa\,\diff y
\end{split}
$$

を持つ。この渦度領域の運動方程式(3.7.14)は、領域での速度が $\DL{ \ff{\diff \B{r}}{\diff t} = U\B{i} }$ であるこtに注意して、

$$
\begin{split}
\ff{\diff \B{I}_V}{\diff t} = -U\B{j}\int_{y_1}^{y_2}\kappa\,\diff y = \B{f}+\int_{y_1}^{y_2}\int \B{u}_e\times \B{\om}\,\diff x\diff y
\end{split} \qquad(8)
$$

ここに、$\B{f} = (T_2-T_1)\B{j}$ は外力である。

 (8)の最後の項では、自己誘導速度は渦力に寄与しないため、$\B{u}_e$ を $\B{u}$ で置き換えることができる。$y_1 > -a$ および $y_2 < a$ に対して、シート上で $\B{u} = U \B{i}$ である。したがって、(8)の $y$ 成分をとり、$\om = \kappa(y)\delta(x)$ も注意すると、$\B{f} = \B{0}$、のとき $T_1 = T_2 = T$ であり、張力は渦層沿いに一定である。$T$ を求めるために、(8)を大きな半円 $y ≥ 0, x^2+y^2 ≤ R^2$ に適用し、$R\to \infty$ とする。すると、

$$
\begin{split}
-U\int_0^a \kappa\, \diff y = -T+\iint_{y\geq 0,\,x^2+y^2\le R^2} (\B{u}\times \B{\om})_y\,\diff x\diff y
\end{split} \qquad(9)
$$

今、

$$
\begin{split}
\iint (\B{u}\times \B{\om})_y\,\diff x\diff y = \oint \left( \ff{1}{2}\B{u}^2\B{n}-\B{u}(\B{u}\cdot \B{n}) \right)_y\,\diff s = -\int_{-\infty}^{\infty}\ff{1}{2}\B{u}^2\,\diff x
\end{split} \qquad(10)
$$

このようになるのは、無限遠での半円からの寄与は消失するためである。(10)において、

$$
\begin{split}
u(x,0) = \ff{\del \phi}{\del x} = U\left( 1-\ff{|x|}{\sqrt{a^2+x^2} } \right)
\end{split} \qquad(11)
$$

を代入すると、

$$
\begin{split}
\int_{-\infty}^{\infty} \ff{1}{2}\B{u}^2\,\diff x = \left( 2-\ff{1}{2}\pi \right) U^2a
\end{split} \qquad(12)
$$

が得られる。$\DL{ \int_0^a \kappa\,\diff y= 2Ua }$ であるため、(9)から(7)を取得できる。

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