任意の連結領域で渦度が零の場合、流れは渦無し流れと言える。このとき、$\text{rot}\,\B{u}=\B{0}$ でり、また速度ポテンシャルと呼ばれるスカラー $\phi(x,y,z,t)$ が存在して:
$$
\begin{split}
\B{u}=\nabla \phi \qquad(1)
\end{split}
$$
領域が単連結の場合、任意の閉曲線周りの循環は零(曲線によって境界づけられ完全に流体内にある面を通る渦度の流束に等しい)であるため、速度ポテンシャルは単価である。しかし領域が多重連結の場合、閉曲線は縮約できないため、その循環は消失せず、ゆえに速度ポテンシャルは単価ではない。
また、点 $P$ での速度ポテンシャルは、以下の速度についての線積分を通して与えられる。
$$
\begin{split}
\phi(P)=\int_A^P \B{u}\cdot\,\diff \B{s} \qquad(2)
\end{split}
$$
点 $A$ は任意のため、$\phi$ には、時間についての任意関数についての加算の不確定性が反映されている。ストークスの定理と、$\B{\omega}$ の不存在(渦無し流れのため)という条件は、式(2)の $A$ から $P$ へのあらゆる経路に対して同じ値であることを保証する。ただし、$\phi$ の値は $P$ を通る縮約可能でない閉曲線周りの循環の整数倍だけ異なる可能性はある。
なお、多重連結領域の速度ポテンシャルは、「穴」を横切って境界上に端を持つ連結開面である障壁またはダイアフラムを導入する技巧によって単価にできる。このようにすると領域は単連結にできる。なお、速度ポテンシャルは障壁を横切るときに不連続、すなわち有限ジャンプを持つことがある。ただし、速度場は連続で、ジャンプの値は障壁上で同一となる。ケルビンの循環定理の条件が満たされる場合(Lamb [1932 §§47-52], Batchelor [1967 §2.8] 参照)、これは時間的にも一定で、障壁を通過する閉曲線周りの循環である。
ヘルムホルツの第1法則または循環定理からは、バロトロピー流体の流体粒子は、保存力のみの作用下では渦が不生不滅であることが分かる。この主張は、境界の運動によって静止状態から運動状態に移行する流れについての、渦無し流れに関する大きなな関心を生み出す。このようになる理由は、流体が非圧縮の場合、$\div\,\B{u}=0$ で $\phi$ はラプラス方程式、
$$
\begin{split}
\nabla^2 \phi = 0 \qquad(3)
\end{split}
$$
を満たす。ラプラス方程式に対する解析については、広範な結果がある。
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