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4.2 仮想運動量とインパルス(Virtual momentum and impulse)

 物体は完全に柔軟であっても良く、さらに対象は必ずしも物体である必要はない。加えて、少なくとも物体の体積が一定である場合、材質表面 $S_B$ によって境界づけられた回転運動する流体の塊、すなわち渦または渦群であってもよい。したがって、仮想運動量は物体内部の渦度のインパルスと関連していなければならない。

 三次元において、表面 $S_B$ により囲まれた任意の流体中の体積 $V_B$を考えることにする(適切な障壁を含む)。ここに、$S_B$ 上で $\B{\om}\times \B{n} = \B{0}$ であり、$S_B$ の外部では $\B{\om} = \B{0}$ であり、単一値の速度ポテンシャル $\phi$ が存在するとする。議論を進めるに当たり、我々は次の補題を必要とする:

$$
\begin{split}
\ff{1}{2}\int \B{x}\times (\B{n}\times \B{u})\diff S_B = -\int \phi\,\B{n}\,\diff S_B
\end{split} \qquad(1)
$$

 (1)を証明するに当たり、左辺の積分は $\B{u}$ の接線成分のみを含むことに注意する。$\phi$ を物体内部では、$S_B$ 上で値 $\phi$ をとる解析的な調和関数として定義する。すると、$S$ 上では、$\B{n}\times \B{u} = \B{n}\times \nabla \phi$ となる。ベクトル恒等式(3.2.11)を左辺に適用し、$\B{a}$ を $\nabla\phi$ で置き換え、右辺に発散定理を適用すると、各辺が $\DL{ -\int \nabla\phi\,\diff V_B }$ に等しいことが示される。さらに、(3.2.13)より次が導かれる:

$$
\begin{split}
\int \B{u}\,\diff V_B = \ff{1}{2}\int \B{x}\times \B{\om}\,\diff V_B-\int \phi\,\B{n}\,\diff S_B
\end{split} \qquad(2)
$$

 したがって、渦度の流体力学的インパルス $\B{I}_V$、物体の仮想インパルス $\B{I}_B$、および物体が流体で置き換えられたときに物体が占める領域の、流体の実際の運動量 $\B{P}_F= \DL{ \int \B{u}\,\diff V_B} $ の間の関係は:

$$
\begin{split}
\B{I}_V = \B{P}_F+\B{I}_B
\end{split} \qquad(3)
$$

 $\B{P}_F$ は $\DL{ \int \B{u}\cdot \B{n}\,\diff S_B }$ に等しいため、流体速度が拡張される特定の方法とは無関係である。式(3)は物体の流体力学的インパルスと仮想運動量の間の単純な関係を与えている。

 物体の運動方程式から流体力学的インパルスの変化率の法則(3.7.14)を再導出できる。まず $\B{F}$ を、像渦度を維持するのに必要な力密度とすると、

$$
\begin{split}
\ff{\diff \B{P}_F}{\diff t} = \B{D}+\int \B{F}\,\diff V_B
\end{split} \qquad(4)
$$

と表現できる。物体を流体で置き換えたとき、物体表面上の圧力の積分である抗力 $\B{D}$ は同じであるためである。次に、(3)、(4)および(1.8)から、我々は次を得る。

$$
\begin{split}
\ff{\diff \B{I}_V}{\diff t} = \int \B{F}\,\diff V_B+\int \B{u}_e\times \B{\om}\,\diff V_B \qquad(3.7.14)
\end{split}
$$

※ このようになるのは、渦力の積分では $\B{u}$ を $\B{u}_e$ で置き換えることができるためである。

(これは $S_B$ 外部の速度ポテンシャルの物体内部への解析接続ではない。一般に $S_B$ 内部に特異点を持つ。)

 これらの結果は、物体または物体群の周りに正味の循環がない場合、二次元でも成り立つ。インパルスの定義から$\DL{\ff{1}{2}}$ の因子がないことは、(3.10.16)と比較して(3.2.11)から因子 $2$ がないことによって補償され、上記の議論は詳細に渡って、(1)の左辺から $\DL{\ff{1}{2}}$ を、(2)の右辺の最初の項から削除しても成り立つ。

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