束縛渦度と渦力の概念を含むほとんどの応用では、密度が一定であることが不可欠である。ヘルムホルツとケルビンの定理は正圧流体(つまり $\rho = \rho(p)$ )に対して有効であり、これは衝撃波がない限り圧縮性流れを含むが、解析と数学的変換は $\nabla \rho = \B{0}$ と $\div \B{u} = 0$ に大きく依存している。
しかし、ブシネスク近似が許される場合、理論は重力場中の成層流に適用できる。一定重力の場合を考える。非粘性運動方程式は、
$$
\left\{
\begin{split}
&\, \rho \ff{D \B{u}}{D t} = -\nabla p-\rho g \B{k} \qquad(1) \EE
&\, \ff{D \rho}{D t} = -\rho\,\div \B{u} \qquad(2)
\end{split}
\right.
$$
これを考えるに当たり、密度に対する状態方程式が必要である。次を仮定する。
$$
\begin{split}
\rho = \rho_0(1+c)
\end{split} \qquad(3)
$$
ここに $\rho_0$ は一定密度、$c$ は拡散方程式
$$
\begin{split}
\ff{\del c}{\del t} + \B{u}\cdot \nabla c = 0
\end{split} \qquad(4)
$$
に従う何等かのスカラー濃度である。
ブシネスク近似は $c \to 0, g \to \infty, cg \to θ$(ある値)の極限である。方程式は次のようになる。
$$
\left\{
\begin{split}
&\, \ff{D \B{u}}{D t} = -\ff{\nabla p}{\rho_0}-\q \B{k} \qquad(5) \EE
&\, \div\,\B{u} = 0 \qquad(6)
\end{split}
\right.
$$
さらに、
$$
\begin{split}
\ff{\del \q}{\del t} + \B{u}\cdot \nabla \q = 0
\end{split} \qquad(7)
$$
ここに、$\q$ は応用においては、$(\rho-\rho_0)g$ と同定される。
比較的簡単な例は、垂直に伝播する半径 $R$ の浮力渦環によって提供される。コア内の流体の密度が $\rho_1,$ 周囲密度が $\rho_0$ であるとする。環周りの循環が $\Gamma$ の場合、ケルビンの循環定理により $\Gamma$ は一定である。さらに、流体力学的インパルスIは次で与えられる。
$$
\begin{split}
I \approx \rho_0 \kappa R^2
\end{split} \qquad(8)
$$
環に作用する浮力は $(\rho_0- \rho_1)2\pi g R a^2$ であり、ここで $a(≪R)$ はコア半径である。コアと周囲流体間の混合や巻き込みは無視されるので、$\rho_1 = const.、Ra^2 = const.$ である。運動量保存により、
$$
\begin{split}
\ff{\diff I}{\diff t} = 2\rho_0 \kappa R \ff{\diff R}{\diff t} = (\rho_0-\rho_1)2\pi g R a^2
\end{split} \qquad(9)
$$
が言える。$V = 2\pi^2 R a^2$ は一定のコア体積とする。すると、
$$
\begin{split}
R^2 = R_0^2+\ff{2V t}{\kappa \pi \rho_0}(\rho_0-\rho_1)g
\end{split} \qquad(10)
$$
が環半径の時間発展を与える。
挙動は $\Gamma$ と $(\rho_0-\rho_1)$ の符号に依存する。軽い(重い)環が上向き(下向き)に伝播する場合、 つまり $\Gamma (\rho_0-\rho_1) >0$ よって、環半径は時間とともに増加し、速度 $∝ \DL{\ff{1}{R}}$ のため環は減速するが、$\DL{ \int \ff{\diff t}{\sqrt{t}} }$ が発散するため環は $∞$ に到達する。
逆の場合、環は加速しながら有限時間で $R$ が零に近づくが、$R ≫ a$ の時に近似が不整合になる。実験的には、この場合にカスケード不安定性が見られる。成層大気中の2次元渦対の運動は、航空機後流渦の降下との関連で相当な関心事である。ヒル[1975a]がこの問題の数値研究を実行した。
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