6.3で二次元流れに対して記述された過程は、軸対称三次元流れにも適用できる。半径 $a$ の円盤が速度 $U$ でその平面に垂直に運動するとする。速度ポテンシャルは解析の標準的方法で求めることができる(Lamb [1932 §108], Batchelor [1967 §6.8])。
また、子午面での流線パターンは二次元の場合と類似している。円盤上では、速度ポテンシャルは(円柱極座標 $x, r, θ$ を用いて)以下のように記述できる。
$$
\begin{split}
\phi = \mp \ff{2U}{\pi}\sqrt{a^2-r^2 } \quad \text{on} \,\,\, x=\pm 0,\,\,\, y^2+z^2=r^2<a^2
\end{split} \qquad(1)
$$
円盤を消失させると、軸周りの円である渦線を持つ円形渦層が残る。渦層の強度と渦度はそれぞれ、
$$
\begin{split}
\kappa(r) = \ff{4U}{\pi} \ff{r}{ \sqrt{a^2-r^2} }, \qquad \B{\om} = \kappa\,\B{\q}\,\delta(x)
\end{split} \qquad(2)
$$
と表される。
課題の対称性により、流体力学的インパルスは $x$ 方向で、その大きさを次の様に表せる。
$$
\begin{split}
I = \ff{1}{2}\int (\B{x}\times \B{\om})_x\,\diff V = \ff{1}{2}\int_0^a 2\pi r^2 \kappa\,\diff r = \ff{8U a^3}{3}
\end{split} \qquad(3)
$$
このときの運動エネルギーは、
$$
\begin{split}
E &= \ff{1}{2}\int \phi\,\ff{\del \phi}{\del n}\,\diff S = -\ff{1}{2}U \int_0^a 2\pi r \big[ \phi \big]\diff r \EE
&= 4U^2 \int_0^a r\sqrt{ a^2-r^2 }\,\diff r = \ff{4U^2 a^3}{3}
\end{split} \qquad(4)
$$
この円板上では、$\DL{ \ff{\del \phi}{\del n} = -U }$ のためである。円盤中心で始まり、そして終わる、円盤を囲む回路周りの循環 $\Gamma$ は、このようになる。
$$
\begin{split}
\Gamma = \int_0^a \kappa\,\diff r = \big[ \phi \big]_{r=0} = \ff{4Ua}{\pi}
\end{split} \qquad(5)
$$
円形渦層は、再び縁での不平衡前縁吸引のため定常解ではなく、渦輪に巻き上がる。Taylor [1953]は、巻き上がった渦層を半径 $R$、コア半径 $c$、循環 $\Gamma$ の円形渦輪に粗視化することにより形成される、一様渦輪の性質を調べた。輪の流体力学的インパルスは $\Gamma \pi R^2$ となる。(循環と同様に)インパルスが保存されると仮定すると、$R$ は、
$$
\begin{split}
R = \sqrt{\ff{2}{3}} a
\end{split} \qquad(6)
$$
となる。
Taylor(Prandtlの議論に従い)はエネルギーが保存され、コア内渦度が一様であると仮定して、コア半径と輪の速度を決定した。非一様渦度を持つ輪の性質の公式を用いてより一般的に進めることができる。輪の速度 $V$ と運動エネルギー $E$ について以下の結果が必要となる。(§10.3で導出予定)(Fraenkel [1970, 1972], Saffman [1970]も参照)
$$
\begin{split}
V = \ff{\Gamma}{4\pi R}\left[ \log \ff{8R}{c}-\ff{1}{2}+\int_0^c \left( \ff{\Gamma(s)}{\Gamma} \right)^2 \ff{\diff s}{s}+O\left( \ff{c}{R} \right) \right]
\end{split} \qquad(7)
$$
$$
\begin{split}
E = \ff{1}{2}\Gamma^2 R \left[ \log \ff{8R}{c}-2+\int_0^c \left( \ff{\Gamma(s)}{\Gamma} \right)^2 \ff{\diff s}{s}+O\left( \ff{c}{R} \right) \right]
\end{split} \qquad(8)
$$
ここに、$\Gamma(s)$ は軸を中心とする半径 $s$ の円周りの循環である。一様コア(Kelvin)では、$\DL{ \ff{\Gamma(s)}{\Gamma} = \ff{s^2}{c^2},\, \int \left( \ff{\Gamma(s)}{\Gamma} \right)^2 \ff{\diff s}{s} = \ff{1}{4} }$ で、渦輪の速度に対するKelvinの公式(10.2.1)が得られる。
中空コアでは、$Γ(s) = ΓH(c-s)$ で、積分はゼロとなり、中空輪の速度に対するHicks [1885]の結果(10.2.2)が得られる。エネルギーが保存されると仮定すると、(4)、(7)、(8)の間の積分の消去から、
$$
\begin{split}
\ff{V}{U} = \ff{1}{4}+\ff{1}{\pi^2}\left( \ff{3}{2} \right)^{3/2} = 0.44
\end{split} \qquad(9)
$$
となる。なお、この結果は $Γ(s)$ の分布に無関係である。
このとき、コア半径 $c$ の方程式は、
$$
\begin{split}
\log \ff{8R}{c}+\int_0^c \left( \ff{\Gamma(s)}{\Gamma} \right)^2 \ff{\diff s}{s} = 2+\ff{\pi^2}{6}\left( \ff{3}{2} \right)^{1/2} = 4.01
\end{split} \qquad(10)
$$
一様コアにおいては、$\DL{ \ff{c}{R} = 0.19 }$、中空コアでは $\DL{ \ff{c}{R} = 0.14 }$ である。なお、自然界で生成される渦輪の具体的な $Γ(s)$ の値は決定困難である。
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